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教師であり父でありApple好きな人が書くブログ

教師という職業への新しい働き方の提案

仲間内でLIFE SHIFT2の読書会を行っていました。

正直な感想としては、章立ての構成をもう少し変えるともっと読みやすかったのでは?と思っています。内容としては、LIFE SHIFT1とさほど大きく変わっていませんでした。まだ1を読んだことがない人には十分オススメできる一冊です。

私はこの一冊を通して、教師という職業の魅力をもっと高めるにはどうすれば良いのかを考えていました。マルチステージの時代に突入した今、教師という職業にもっと魅力を与えないと、日本の教育はドンドンとされていってしまうと言う危機感を持っています。今日はそのことについて少しばかり書いてみます。


魅力なくして繁栄なし

従来のライフステージは大きく分けて以下の3つでした。

  • 学生という第1ステージ
  • 社会人という第2ステージ
  • 余暇という第3ステージ

しかし、今はマルチステージの時代。第2ステージとされていた年齢の人が学生になったり、長い期間の余暇を過ごしたりするのが認められてきました。

また、同じ企業で引退まで働くことが良しとされてきましたが、職を転々としながら個人のスキルを高めていくことに価値を見出す人も増えてきました。そうなると、企業としては優秀な人材をとどめておく手立てが必要になってきます。

私が所属する教師という職業も同じことが言えます。教師という職に魅力がないと、どんどんと人が流出してしまいます。教員全体の離職率は2017年では0.7%。決して高くない数値ですが、年齢別に見ると25-35歳の離職率は20%近くあります。

若い人たちの人材流出は教育の未来にとって明るいニュースではないでしょう。私は、この数値は、これからも下がる見込みは少ないと思っています。教師という職業に魅力なくして教育の繁栄はないと言っても過言ではないでしょう。


新しい働き方の提案

以下は、企業の魅力を高めるためにできる新しい働き方の提案です。LIFE SHIFT2に書かれていたものもあれば、私が勝手に妄想しているものもあります。

  • 多様な勤務時間体系
  • 多様な入社年齢
  • 個人の学び支援システムの構築
  • 新しい退職の形の提案

これを、教師という職視点で考えてみます

多様な勤務時間体系

多様な勤務体系を、あえて勤務時間にフォーカしてみました。学校現場で話をするならば、過去何度か提案してきたフレックスタイム制度の導入はどうでしょうか。 変形労働時間制よりもフレックスタイム制を導入すれば良いのに - MOLOG

担任を2人制にするなど、システム変更の必要性は出てきますが、現在の教員リソースから工夫次第で導入できるのでは、と妄想しています。

また、ICTの活用により、このまま業務改善が進むといずれ7時間45分の勤務時間が6時間程度になる未来もゼロではないと思っています。このようにして、多様な勤務時間体系を導入することで、労働者の余白を生み出し、それがそのままその職の魅力につながるとも思っています。

多様な入社年齢

入社年齢を、これまでの大卒が多数派を占めていたこれまでから、30代40代の即戦力を積極的に採用する企業が増えてきました。学校でこれを導入するとどうなるでしょうか。

一度一般企業に就職した後、教員の道を選ぶ人も徐々に増えてきたと思います。これを促進することで、教員のなり手不足を補うことができます。学校現場に、もっと出入りがあって良いという雰囲気を作ることもできます。

ただ、もちろん考えなくてはならない課題もあります。例えば、40歳から一般企業を経て教員になった場合、最後に授業したのは何十年前の教育実習だった、と言うことも起きるでしょう。また、学校には学校独自の暗黙知がたくさんあります。そういった暗黙知をきちんと伝えるようなマニュアルを作成する必要が出てきます。

学び支援システムの構築

先の授業や暗黙知に対するマニュアル作成は、この学び支援システムにも関連してきます。要は、働きながらスキルを身に付けるような学習システムを構築すると言うことです。このシステムがしっかりとしていれば、働く人はその職に必要なスキルを身に付けることができます。スキルを身に付けることができると言うのは、その職業の魅力につながることでしょう。

これにも、ICTツールはひと役買ってくれます。ICTツールの活用により、学習コストはどんどんと下げられていくことでしょう。また、理想はその職に就いている人たちがコミュニティーを形成し、学習プラットフォームを形成することです。オンライン上でも先生たち同士がつながって、教材を共有したり授業のノウハウを伝えあったりすることが可能になりました。

新しい退職の形

これまでは、ある年齢に達すると突然その職業を辞めると言う退職の形が提案されてきました。定年退職です。冷たいシャワーという表現が使われていました。LIFE SHIFT2では、冷たいシャワーではなく、徐々にぬるま湯にしていく形の退職が提案されています。

55歳以上からはパートタイム制度を設けます。働きたい人はフルタイムで働けば良いし、そうでない人はパートタイムで働き、空いた時間に次のステージへの準備を行うことができます。このようにして、緩やかな退職の形を提案できれば、安心して就職することができるでしょう。


魅力のある職業だからこそ勤務システムの変化を

上にあげたものは、一朝一夕でどうにかなるものではありません。しかし、現在のリソースを大きく変えることなく、工夫次第で導入できるものもあると思います。魅力のある職業だからこそ、システムを変えてもっと成り手を増やしていけると良い、そうなると日本の教育も明るくなるのでは、という提案です。