【独学大全】学ぶ人に携わる全ての人に読んでもらいたい一冊【レビュー】
実は1ヶ月で10冊前後の本を読む程度の読書好きです。
今年も1年で結構な数の本を読んできました。
さて、今年の終わりに出会ったのが読書猿さんの書いた「独学大全」という本。
独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
- 作者:読書猿
- 発売日: 2020/10/21
- メディア: Kindle版
倉下さんという知的生産やライフハックが好きな人は皆知っている方のブログを読んだことがきっかけです。
今日は新年一発目、自ら学ぼうという意識の高い皆さんに、ぜひ買って人生を豊かにしていただきたい本書を倉下さんのブログを参考にしながら紹介していこうと思います。
本書は枕である
いきなり何を言ってるんだ?と思ったことでしょう。
本の紹介で「この本は枕である」とは失礼な奴だと思ったことでしょう。
それはあなたがまだこの本を手に取ったことがない故の感想です。
ひとたび本書を目にした方ならば私のこの「枕」という表現はしっくりきているはずです。
本書は、850ページを超え厚さは約5cmの超マンモス本。
これだけの厚さがあれば枕としては十分機能を果たすことができるでしょう。
「枕 一般的な高さ」で調べたところ、一般的な男性に適した枕の高さは5〜6cmでした。
つまり本書は枕としても使える、睡眠学習に最も適した本であると言えるでしょう。
ちなみに本の厚みを斜めで測ったところ14cmもありました。
14cmといったら約5.5インチ。
なんとiPhone12 mini(5.4インチ)よりも大きいのです。
恐ろしい子です。
本書は事典である
Amazonで本書を検索すると「人文・思想」というカテゴリーに属しています。
本書を出版しているのはダイヤモンド社。
ダイヤモンド社といえば「もしドラ」などを出版している、人文・ビジネスのカテゴリーでは大御所の出版社です。
私のリサーチが正しければ、ダイヤモンド社は事典を出す出版社ではないはず。
にもかかわらず本書は紛れもなく事典なのです。
ダイヤモンド社の内容紹介では以下のように書かれています。
本書は正体不明、博覧強記の読書家であり、独学の達人である読書猿が書いた「勉強法の百科事典」です。ギリシア哲学から最新の論文まで、あらゆる「知の先人」から学んだ内容を、著者独自の視点で55の技法にまとめました。 本の読み方、挫折の乗り越え方、時間の作り方…勉強はこの1冊でOK!独学者のバイブル誕生。独学大全;ダイヤモンド社
出版社が勉強法の百科事典と書いてしまうのも無理はありません。
まるで国語の辞書のように本書は分厚い。
極め付けは本書の後尾に索引が付いているという点。
850を超えるページ数に索引までついてたらこれはもう事典というしかないでしょう。
どこから読んで良いか迷ったら、索引から必要な場所を探し、その部分だけでも読んでみてください。
きっとそれだけでもこの本の価値が伝わると思います。
本書は小説である
枕だ事典だと揶揄しておきながら次は小説ですかと、そろそろ皆さんも呆れてきた頃でしょう。
しかし、本書は紛れもなく枕であり事典であり小説なのです。
本書は850を超えるページでありながら、一つのテーマ「独学」について書かれています。
独学とは、その字が表している通り、独りで学ぶこと。
学校で誰かに教わるのではなく、セミナーで仲間とともに学ぶのではなく、独りで学ぶという行為が独学。
独学について一貫したテーマで書かれた本書は次の言葉で始まるのです。
無知くん「たのもう!たのもう!」
本書は、学びたいけれど挫折ばかりしてきた物を知りたい若者「無知くん」と、独学に長けた「親父さん」の二人の会話から始まります。
4部を15章に細かく分けて書かれた本文には、独学についてさらに55の技法が書かれています。
当然、本文の中には先程の二人は全く出ておらず、本文はビジネス書などのノウハウ本と同じように書かれています。
にもかかわらず、本書は小説という理由は、各章の初めに書かれた無知くんと親父さんの対話。
章の初めに書かれた二人の対話は、各章の導入として非常に心地よく展開されています。
初めは泣いてばかりだった無知くんも、親父さんとの対話を通じて徐々に独学に目覚めていきます。
一人の主人公の成長が書かれているという点で、本書は小説であるとも言えるでしょう。
850ページなんて読めないという人も、まずはこの二人の対話だけでも読んでみることをオススメします。
本書は学び方の大全である
そろそろきちんとこの独学大全について紹介しますね。
この本は大きく分けて次の4つの章立てで書かれています。
- なぜ学ぶのかに立ち返ろう
- 何を学べばよいかを見つけよう
- どのように学べばよいかを知ろう
- 独学の「土台」を作ろう
これまで様々なビジネス書が出版されてきました。
本書は、それらのビジネス書を全て1冊にまとめたその名の通り大全なのです。
各章について、それぞれ一つずつ書かれた本はこれまでにもあったかもしれませんが、これを一冊にまとめてしまい、しかもそれでいて売れているのだからこの本は恐ろしいのです。
人はなぜ学ぶのか、何を学ぶのか、どのように学ぶのか。
WHYとWHATとHOWをまとめてしまったわけですね。
だからこそ本書は大全であり、これ一冊あれば多くのビジネス書の存在価値が薄れてしまう恐ろしい本なのです。
本書は読書法の大全である
本書は、独学について55の技法が紹介されています。
55の中で最も多く書かれているのが、読書についての技法です。
本書の「第12章 読む」には、13の読書術が書かれています。以下、ざっと列挙してみます。
- 転読
- 掬読
- 問読
- 限読
- 黙読
- 音読
- 指読
- 刻読
- 段落要約
- 筆写
- 注釈
- 鈴木式6分割ノート
- レーニンノート
我々の多くは読み方を誰かに習ったりしない。(中略)「最初から順番に」という思い込みを脱するだけでも、読書はずっと楽で楽しいものになる。
全くもってその通りです。
恥ずかしながら私は、つい数年前まで本は目次から始まって、最初から最後まで読み進めていくものと思い込んでいました。
しかし本を読むことの目的を「そこに書かれた知識を得て、人生を豊かにすること」と捉えれば、必ずしも最初から最後まで読む必要はないのです。
知りたいことを思い浮かび、その答えを探すために読書をする。
目次を読んで、気になる部分だけをつまんで読む。
これだって立派な本の読み方なはずです。
私たち教師は、子供達に一体何種類の本の読み方を伝えられているでしょうか。
本書は教師のための大全である
これまで読んだビジネス書を一冊にまとめたのが本書、独学大全。
そういった意味ではこの本との出会いは、私にとって学び方を知るための読書の終わりを告げたといっても過言ではありません。
しかしそれは学びの海に解き離れた、つまり独学の始まりとも言えるでしょう。
私たち教師は実は誰もが独学者なのです。
子供達の成長のため、日本の未来のために絶えず研究と修養が義務付けられた職業が教師です。
答えのない教育に携わる私たちは、常に独学し続けていかなければいけません。
この独学大全は、そんな私たちにとって最も必要な一冊ということもできそうです。
私はこの本を羅針盤のように、学ぶことに困った時に立ち戻ってこようと思います。
さいごに
独学大全は、読書猿さんというブログをやっている方ならば誰もが知っている人物とダイヤモンド社という大手ビジネス出版社がタッグを組んだ一冊
私の好きなライフハック界隈の方達がこぞってみなさん絶賛されていたので気になって読んでみましたが、非常に満足のいく一冊でした。
3000円と一冊の値段で考えればなかなか高いと感じていましたが、本何冊分もの価値があると感じました。
気になっているところだけ、コラムだけ、と思って読み始めましたが、気がつけば何周も読んでいました。
子供達に紹介したい学習方法もたくさん書かれています。
ぜひ書店で手に取って、その厚さに驚愕してみてください。
家に一冊置いておきたい本に出会えました。