さる先生の「MISSION DRIVEN」を読んで 印象に残った7つの文章
自分のミッションは何だろう?
読み終えた後そう自分に問わずにはいられない一冊でした。いや〜面白かった。
実践というよりもさる先生の哲学に触れることのできる一冊。こういった類の内容はブログくらいでしか見られないので本としては珍しいように感じました。
今日は印象に残った内容を紹介しつつ、それぞれ私の考えたことを感想文がてら書いていこうと思います。
- ①飛べる雛を飛べないと思い込み、わざわざ飛べる手伝いをして仕事を増やすという茶番
- ②僕は僕の中に憲法をつくった
- ③2割くらいの完成度のプロトタイプを世に出し、フィードバックを得てチームで修正しながら作り上げていく時代(修正主義)
- ④教員の再魅力化に必要なのは
- ⑤「学ぶ」という行為は「自分の外側に在る知識や技能を自分の内側に定着させる行為」
- ⑥そもそもこれは正しいのか?と疑いを持つことからスタートするゼロベース思考
- ⑦有効性と再現性の高い情報が求められる
- さいごに
①飛べる雛を飛べないと思い込み、わざわざ飛べる手伝いをして仕事を増やすという茶番
学校現場の問題点をそのままズバリ一言でぶった切ってもらいました。(一応断っておきますが、さる先生は我々のやっていることを否定したいわけではありませんので悪しからず
飛べる雛を飛べないと思い込むのは色々な場面でやってしまう我々の悪いところですよね。生徒の可能性にキャップをして皮肉にも私たち教師が生徒の力を抑制してしまっている。
例えば授業で生徒が考えている途中で教師が教えてしまう。例えばクラスでの決め事で生徒同士ではなく教師主導で決めてしまう。
もっと生徒の可能性を信じ、任せてもいい場面がたくさんあるのかもしれない。当然、任せれば失敗もするだろうけれどそれも含めて学校の役割。
今一度自分のやっていることを見直してみようと思いました。
②僕は僕の中に憲法をつくった
この仕事をしていて、一番辛いのは、以前担任をしていた子どもと街で出会って、気まずくなってしまうときなのではと感じる。何の運命か、1年間同じ教室で過ごし、すれ違いを生むことは、本当に悲しいことだ。そういった失敗経験から、僕は僕の中にひとつの「憲法」を作った。「子ども全員のことを好きでいること」
憲法っていう表現が良いですよね。絶対に犯してはいけないもの。確固たる信念を感じます。
私の場合は、なんて考えてみましたが、私はまだここまでの覚悟で自分のルールを決める勇気が持てませんでした。笑
まぁ、マイルールでいうと「ワクワクすること」「アップデートすること」でしょうか。
いずれにせよ憲法ほどではない宣言かな…。今流行のガイドライン、程度でしょうか。笑
③2割くらいの完成度のプロトタイプを世に出し、フィードバックを得てチームで修正しながら作り上げていく時代(修正主義)
「仕事は7割の完成度で良いから早く提出する」が私のモットーです。
何でもかんでも100の力でやってしまうと結局力尽きてしまうので力配分を考えよう、ということです。時には100の力でやらなければならないものもあると思います。(進学に関わる資料づくり、など)
これをさる先生は2割で良いから出してしまい、チームで修正しながら作り上げていくなんて言うわけですからとっても刺激を受けました。
しかしチームで作り上げていくためにはいくつか普段からやっておいた方が良い前段階があるのかもしれません。
- 目指すべきゴールの共有
- お互いの考えのすり合わせ
- チーム内の関係づくり
ここでは一つ一つ書いていきませんが、特に1は学校現場では軽視されがちかな、と感じます。先生方一人ひとりの生徒に求める姿が共有されていない。
私の生徒に求める姿の一つは「好奇心」です。
私の愛読書ならぬ愛ブログあお先生はここの共有を大事にされているのだと思います。
クラスの生徒ともフィードバックを得ながら、試行錯誤してつくり上げていく感覚を持って学級経営をしていこうと思いました。
④教員の再魅力化に必要なのは
①自らの生産性を上げ、労働時間を適正化していく
②教師のパラレルキャリア化を進めていく
文科省や各教育委員会も今「教師という職業の魅力発信」に努めていますが、私はこれは私たち現場が行ってこそ意味があると思うのですよね。少なくとも文科省も教育委員会の方々も今現場にいませんし。
今はいろんな先生方が著書やTwitterで①について発信されています。もちろんさる先生もこの一人。「全部やろうはバカやろう」でもたくさんの実践を紹介してくださっています。
そして今、少しずつですが②についても発信されている方々が増えてきました。副業を勧めたり実際にご自身の副業を紹介されたりする先生もいます。
日本では昔からお金を稼ぐことはいやらしいという考え方があります。しかし欧米ではむしろ自らの可能性を広げることとして推奨されています。
もちろんパラレルキャリア化はお金を稼ぐことが目的ではありません。しかし色々な体験を積むことはその一つ一つが先生方の視点を増やし、それがそのまま子どもたちに還元されるわけです。
そういった意味では私もブログを読む側から書く側になったことで少しは自分の可能性を広げられているかな?
⑤「学ぶ」という行為は「自分の外側に在る知識や技能を自分の内側に定着させる行為」
首振り人形が如くうんうんと何度も首を縦に振りました。(ぽろっと取れそうだったので慌てて両手で頭を押さえたほどです)
私は「学ぶ」とは「結ぶこと」だと思っています。自分の中の知識や体験を自分ではないものの知識やまだ体験したことのないものと結ぶこと。
中学生を教えているのですが、中学生くらいになるとそれまで色々なことを体験し、学んでいます。教科書などで学ぶということは言わば自分の外にある知識や先人たちの実践を自分の中にあるものと結ぶこと。
授業作りにおいて大切にしていきたいと思います。
⑥そもそもこれは正しいのか?と疑いを持つことからスタートするゼロベース思考
私たちは日々たくさんの仕事を的確に処理しなければなりません。そうして同じ場所でずっと仕事をしていると何がおかしいのか見えなくなってくるんですよね。いわゆる臭い部屋理論。
当たり前を疑うってのはかの有名な工藤校長先生も同じことを言っていますよね。
ゼロベースで思考することで校長先生クラスになるとこういった事もできるようになるかもしれません。
もちろんこれまでやってきた上で良い実践もたくさんありますが、それらを行う際にも一度0から考えるゼロベース思考は有効かもしれません。やる意味を今一度再確認できますからね。
⑦有効性と再現性の高い情報が求められる
私自身は有効性ばかりに目がいっていたので再現性について学べたのは大きかったです。でも考えてみればそりゃそうだ。
陰山先生の実践100ます計算がなぜ全国で広まったのかといえば有効性もさることながらその高い再現性。理論もわからず実践をやってみるだけでも再現できますからね。
ここでふと頭に浮かんだのは西山教授の提唱する『学び合い』。私は『学び合い』については本も読み、教授のお話を聞きに行き、数年間実践もしたことがあります。しかし今は必要と思う場面だけ取り入れています。(果たしてこれが良いかはわかりません)
私は『学び合い』は有効だと感じましたし、実際に生徒からも大変好評だったのですが、一方で実践の苦しさも味わいました。『学び合い』の難しいところは再現性が低いところにあるのだと思います。実践というより哲学に近い。
ここまで書きましたが、『学び合い』を否定したいわけではないのでこの話はここまでにします。有効性だけでなく再現性にも目を向ける必要があると学べたのはよかったです。
さいごに
自分のミッションはなんだろう?
と今一度考えさせられた一冊でした。考えて見たものの、ミッションなんて言われて肩に力が入ってしまいました。笑
- 目の前にいる生徒とワクワクすることをやる
- 自分がやっていて楽しいことをやる
とりあえず私はこんなことをしながら自分のミッションについて考えていこうと思いました。